発表会ではピアノだけの演奏でしたが、この曲には歌詞があります。
「歌いながら弾けたら、かっこいいだろうな」−−そんな思いから、まずは歌の教材を作ってみようかな、と。
英語の歌詞だったので、小学生でも無理なく歌えるように読み仮名をつけた教材を手作りしました。
最初は、歌だけを歌っていました。
それがだんだんと、ピアノを弾きながら自然に歌えるようになっていったのです。
そして先日、さらに驚いたことがありました。
彼が、ノリノリで弾くピアノの音と、自分の歌う声とのバランスを気にし始めたのです。
歌声が負けてしまわないように、ピアノの音を少し抑えたい。そこで、歌が低い音にくる部分はどうしても響きにくいのでそこだけ左足で踏むソフトペダル(弱音ペダル)を使ってみることにしました。
ペダルを踏むと鍵盤が少し動くのを見て、「あれ、なんでだろう?」と、彼はグランドピアノの仕組みにも興味を持ったようです。
そのとき、私自身がかつて先生に教わった言葉を思い出しました。「ペダルは、足で踏むんじゃない。耳で踏むんだよ」。音をよく聴いて、その響きに合わせてペダルを操る。彼が音のバランスを気にし始めた姿は、まさにその第一歩なのだと思います。
どうすれば声がよく響くか。ピアノをどこで強く出して、どこで控えればいいか。息を吸うタイミングはどこか−−。自分の耳で感じ取れるようになってきたことは、すごい成長です。歌もピアノも、ぐっとセンスがよくなりました。
好きな曲を、好きなように弾いて歌う。その積み重ねの中で、耳が育ち、表現が生まれていく。子どもの持つ力の素晴らしさを、改めて感じさせてもらった出来事でした。